オレスティーズ・ブラウンソンとアメリカの神学
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概要
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ブラウンソン(1803-1876)はニューイングランドがアメリカ思想界で圧倒的優位を保ち、エマーソン、シオドー・パーカーらが活躍していた時代に説教家、文筆家として知られていた。彼はボストンの有力な雑誌に寄稿したばかりでなく、みずからも『ブラウンソンズ・クォータリー・レヴュー』を刊行した。さまざまなプロテスタント教派を遍歴した後、41才の時、カトリックに改宗した。同時代のニューイングランドのユニタリアン、超越主義者たちが高等批評を受け容れて、イエスをキリストとしてではなく崇高な人格者、人生の指導者として考えたのに対して、改宗前からブラウンソンははっきりとイエスの神性を肯定し、神の子の受肉の教義を擁護して、受肉に基づく人間の共同体の発展を描いていた。改宗後のブラウンソンはカトリック教会とアメリカ社会は相容れないとするプロテスタント主流派の主張を論破するためにあまりにも精力を使い過ぎ、もともともっていた神学的洞察をのばす機会に恵まれなかった。彼はカトリック教会が民主主義社会に基本的な価値を一番提供できると訴えたのであった。彼は創造における三位一体性の役割について、はっきりとしたヴィジョンを持っていた。それは現代神学でも通用するものである。ただそれは他のテーマとの関連で展開されているので、本格的なものではない。ブラウンソンは特にいわゆる「公共神学」のカトリック側の先駆者であると言いうる。
- 上智大学の論文
- 2007-03-31
著者
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