和辻哲郎のアメリカ文明論
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概要
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和辻哲郎の『アメリカの国民性』は, 『日本人のアメリカ論』(研究社)に抜粋が収録されてはいるが, 日本の和辻研究者があまり触れない小著である。米国ではわずかにロバート・ベラーが、日本知識人の文化的アイデンティティの問題の枠内で取り上げている。ベラーの論文は, 1965年, アメリカの価値観が揺らぐ直前に書かれたもので当時の思潮を反映している。しかもこの小著だけを対象にしたものではない。本論文は和辻のアメリカ観を, 彼の自然理解と対比しながら, 西欧の自然観の背後にある黙示思想との関連で論じ, 和辻のアメリカ観の特質と限界は何か, また彼の思想的背景である世界志向と日本人の自我性への回帰がどう結びつくかを探ろうとしたものである。東西で機械文明の終焉が言われている今日, 敗戦直前に書かれたこの小著がもつ今日的意義は, もっと評価されてもいいと思われる。
- 上智大学の論文
- 1989-03-20
著者
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