日本における幼児体育研究の動向と課題
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概要
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本稿は、幼児体育研究の過去20年の動向を概観し、幼児体育研究が現段階でどのように理論化されているのか、その到達段階を明らかにすることを目的とした。はじめに、幼児体育研究の意義を考察し、それを踏まえて学会や大学紀要で発表されている幼児体育研究の動向を探った。その結果、主として幼児期の体力・運動能力の横断的、縦断的変化や男女の性差、運動能力テストの信頼性や妥当性などが研究されていることがわかった。体力・運動能力に関する研究が多く報告されているのは、近年の子どもの体力低下の問題によるものと考えられる。体力・運動能力を把握することは、幼児の運動発達を把握する上で有効かつ重要である。しかし、運動能力テストの研究を考えてみると、測定・評価することが原因で、幼児の運動・体育ぎらいを生んでいるのではないかと危惧される。幼児の体力・運動能力の評価や向上を目的とする研究ばかりが行われることなく、幼児のその後の影響を踏まえた、すなわち幼児の発達段階と認識の発達における視点を加えた研究が求められる。
- 2007-03-05