統計的手法を用いた逆平行および平行βsheet中でのstrandペア形成予測法の開発
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概要
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アミノ酸配列に基づくタンパク質の立体構造予測法の開発は,実用面からも知的探究心を満たすという面からも大いに注目されている研究課題の1つである。既に2次構造領域の予測精度は75%に達しており,この2次構造のパッキング予測方法の開発が進められている。このパッキング過程における重要なステップの1つとしてβstrandの会合によるβsheet形成がある。本研究では,既知のタンパク質立体構造データに基づいて,水素結合形成の有無を考慮したβstrand間での残基ペアの出現頻度より統計的スコアを算出した。このスコアを用いてstrandペアに対して正確な位置から前後8残基の範囲で移動させながらstrand配置関係予測を行ったところ,その検出精度は逆平行ペアに対しては38%,平行ペアに対しては35%であった。統計的に算出したスコアに2次構造予測から得られたスコアを加えた場合には,それぞれ40%および38%に上昇した。Strandトリプレットに対して,左右のstrandの位置を固定して中央のstrandを正確な位置から前後8残基の範囲で移動させた場合の検出精度は50%,2次構造予測から得られたスコアを加えた場合には52%となった。正確な位置から前後1および2残基のずれとして予測された割合はいずれの場合も5%以上存在し,βstrand領域の全残基に対する2次構造予測としてみた精度はstrandペアでは68%,strandトリプレットでは80%に達し,用いた2次構造予測法による精度58%を大幅に上回った。このように今回開発した方法は,βstrandの会合予測だけではなく,βstrand領域予測に対しても有効であり,タンパク質の立体構造予測への貢献が十分期待できる。
- 明治大学の論文
- 2007-03-30
著者
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