鎖肛を合併した膀胱尿管逆流症例の治療

概要

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鎖肛を合併したVUR43例を検討し,以下の結果が得られた.1)VURが発見されるきっかけとなった症例は,尿閉や尿路感染症,尿失禁,副睾丸炎などであった.2)鎖肛病型が高位型になるほど,中〜高度のVUR(gradeIV〜V)が占める頻度が高かった.3)腎実質の瘢痕性病変は35%に認められ,逆流程度が高度になるに従いscarの頻度も増加していた.4)逆流の自然消失が確認されたのは9尿管14%で,その内の2尿管では逆流は消失したが尿管下端部狭窄を生じていた.5)逆流防止術は15例(35%)26尿管,腎摘除術は3例3腎に施行された.上部尿路の拡張が著明であった4尿管に対しては,まず一時的尿路変更術が加えられた.以上より,鎖肛を合併したVURの治療に際しては膀胱・尿道の器質的,機能的異常の検索に努め,これらが不明瞭な鎖肛根治術以前には逆流防止術を施行しない方が良いと考える.逆流防止術の際には,下部尿管の癒着や精管の異常に注意し,合併症を起こさないための細かな配慮が必要である.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1988-08-20