核形態計測および核DNA量測定による腎細胞癌の組織学的異型度の検討
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概要
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核形態計測法を用い,腎細胞癌の核異型による組織学的異型度分類の客観化を試み,同時に核DNA ploidyとの関連を検討した.対象は術前未治療の腎細胞癌35症例で,HE標本から最も組織学的異型度の強い領域を選び,グラフィック・デジタイザーを用いて油浸1,000倍下で300核を用手計測し,平均核断面積,補正nuclear roundness factor (NRF)を算出した.計測領域直下のパラフィン包埋組織から顕微蛍光測光法にて核DNA ploidyパターンを解析した.「腎癌取扱い規約」に準じた組織学的異型度と平均核断面積,補正NRFとの関係は,grade 1群12例:30.8±7.7μm^2,32.0±10.1,grade 2群16例:36.4±5.6μm^2,37.7±12.8,grade 3群7例:48.3±9.8μm^2,71.1±24.1 (mean±SD)であり,両者ともにgrade 3群とgrade 1,2群間に有意差を認めた.予後については,平均核断面積≧37.3μm^2または補正NRF≧45.7群では癌死が多く,各々の低値群との間に生存率曲線上明らかな有意差(p<0.01)が認められ,組織学的異型度よりも的確に予後を示していた.異常核DNA ploidyパターンの出現はgradeの上昇に伴い増加し,同様に平均核断面積,補正NRFともに高値になるに従い増加していた.腎細胞癌の病理組織標本の検索において,平均核断面積,補正NRFの計測は,生物学的悪性度とも対応した組織学的異型度の客観的な指標を提供するものと考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1988-06-20
著者
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