ルーマニアにおける条件不利地域の現状と課題-スチャバ県ヤコベニ村を対象として-
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概要
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本稿は,ルーマニアの条件不利地域の現状と課題,及び将来展望について考察している。ルーマニアは,2007年のEU加盟を目指し,EUの援助の下で自国農業の調整政策を進めている。われわれは北部山村のスチャバ県ヤコベニ村で2度にわたり調査を行った。<BR>ヤコベニ村の農業は,畜産(乳牛,羊)を主体とした家族農業で行われており,「畜力耕と手労働」中心の伝統的農業が営まれている。経営規模は零細な上,「革命」以降は農業生産力も後退しており,ほとんどの農家は農業だけでは生活を維持することが難しい状況にある。現在,牧歌的な農村風景がルーラル・ツーリズムのブームのなかで脚光を浴びてきており,民宿や商店などを経営する自営兼業も増えているが,その一方で,環境破壊に対する危惧も広がっている。<BR>重要なことは,自然環境を保全し,美しい景観を維持しつつ,地域社会を再生していく方途を探ることである。われわれの調査によれば,ヤコベニの村長や住民の農業協同組合への関心は高く,彼らのなかに共同化への志向性が芽生えいることが明らかになった。それゆえ,こうした地域農業の自立化への動きを重視しつつ,それを支援するためのEUの公的補助が,現在なによりも求められていると考えられる。
- 2005-06-10
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