ゾイシアグラス(Zoysia spp.)おける低温または高温条件下でのクロロフィル蛍光の低下
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概要
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比較的弱い光条件下で,低温(10℃)または高温(35℃)で起こる葉の光障害の程度を,室温で測定したクロロフィルa蛍光の低下程度から推定した。ゾイシアグラス(Zoysia spp.)の27系統(4種とハイブリツドタイプを含む)に関して,24時間または48時間,低温または高温処理を行ないクロロフィルa蛍光の変化を記録した。蛍光の相対強度を,温度処理前の蛍光に対する比率(%)で示しこれを蛍光強度とした。今回測定したゾイシアグラス全体では,高温処理を行なった時よりも,低温下でより顕著な蛍光強度の低下が見られ,PSIIの障害が起こっていると考えられた。低温処理時には,高温処理時と同様に蛍光強度の低下に関しては大きな系統間の差異が存在していることが観察された。今回実験に用いられた4草種のなかでは,Zoysia tenuifoliaが最も蛍光強度の低下が小さく,低温,高温に対する耐性が強いと考えられるが,同種の葉の幅が狭いことから光が均一に照射されずにその結果として蛍光が高い強度を示したとも考えられ今後の検討が必要である。Zoysia japonicaの17系統に関して,葉のクロロフィル,カロチノイド含量とクロロフィル蛍光強度の関係をみると,低温,高温処理時ともカロチノイド含量との間に,クロロフィル含量との間に見られるよりも高い相関がみられ,カロチノイドが極端な温度条件下で起こる光阻害の軽減する効果があることが示唆された。
- 1995-04-30
著者
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