暖地型と寒地型の草種における低温または高温下でのクロロフィル蛍光の変化
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概要
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低温または高温下で葉に光を照射した時に起こる光合成活性の低下(光阻害)を室温での切離葉のクロロフィル蛍光の変化から比較検討した。寒地型の草種は10℃で24時間または48時間処理した時に,暖地型の草種に比較して高いクロロフィル蛍光値を示した。逆に35℃では暖地型の草種が,寒地型の草種に比較して,高いクロロフィル蛍光値を示し,クロロフィル蛍光値の変化を調べることが,これらの草種の温度感受性を示す指標として有効な手法であると考えられた。本実験では寒地型の草種を35℃で処理した時にのみ,葉のクロロフィルの完全なリーチングが観察された。その他の処理条件では葉は見かけ上緑色を保っていた。光阻害に対する防御機構の一つとしてカロチノイドの関与が提唱されているので,クロロフィル蛍光値と葉のクロロフィルまたはカロチノイド含量との関連を比較した。寒地型の草種を10℃で処理した時を除けば,クロロフィル蛍光値とクロロフィルまたはカロチノイド含量との間には明確な関係は見いだされなかった。寒地型の草種に関してはカロチノイドが低温下での光阻害に対する防御機構に関連している可能性が示された。
- 1995-04-30
著者
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