タンパク質累積膜を用いる機能界面の調製(<特集>機能性界面と分析化学)

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タンパク質を含有する交互累積膜を石英基板や電極などの固体表面に調製する方法とその応答特性について,著者らの最近の研究を中心に述べる.本研究では,2種のタンパク質を用いた.すなわち,糖類を結合する性質を有するレクチン類の一種であるコンカナバリンA及びビオチンを強く結合するアビジンを用いて累積膜を調製した.石英基板や電極を,糖やビオチンで標識された合成ポリマーや天然多糖の溶液とこれらのタンパク質の溶液に交互に浸すと,用いた基板表面にタンパク質累積膜が形成される.累積膜の厚さは累積回数を加減することによりある程度任意に制御することができる.基板をコンカナバリンA溶液とグリコゲンや糖含有合成ポリマーの溶液に交互に浸すとコンカナバリンAを含有する交互累積膜が調製できることが分かった.また,この累積膜を浸した溶液中へグルコースやマンノースなどを添加すると,添加した糖の種類と濃度に応じて累積膜が分解した.ビオチン修飾合成ポリマーとアビジンを用いると,アビジンを含有する累積膜を調製することができる.また,イミノビオチン修飾ポリマーとアビジンで調製した累積膜は,pH8より塩基性では安定であるが,溶液のpHが中性又は酸性になると分解することが明らかになった.また,ビオチンやリポ酸などのようにアビジンに結合する物質に対しても特異的に応答し累積膜が分解する.更に,この交互累積膜を電極表面に被覆して正の電極電位(1V程度)を印加すると電極近傍の局所pH変化により累積膜が分解することが明らかになった.この交互累積膜の分解は溶液中へ過酸化水素を添加して電解することにより加速される.以上の結果から,レクチン又はアビジンを含有する累積膜で機能化された界面を用いたバイオセンシングやデリバリーシステムの構築が可能であることが示唆された.
2007-06-05

タンパク質累積膜を用いる機能界面の調製(<特集>機能性界面と分析化学)

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