ダイズ不耕起播種栽培における出芽期の冠水害回避技術の開発(栽培)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ダイズの不耕起播種栽培においては,圃場面に前作に起因する凹凸が残るため,播種後の降雨により冠水状態が発生しやすい.播種直後から出芽までの冠水はダイズの発芽や初期生育を著しく阻害するため,播種後5日間程度の冠水回避は栽培を成立させる前提条件である.そこで,愛知県農業総合試験場式ダイズ不耕起播種機の播種様式を利用して,圃場内明きょ,弾丸暗きょ,播種溝底に設けたスリットを連結した簡易排水システムを考案し,その排水性能が出芽苗立ちに及ぼす効果について検討した.その結果,播種直後に多雨に遭遇した場合にも,考案した簡易排水システムは的確に機能し種子近傍の滞水を速やかに排水して冠水害を回避できることが明らかとなった.しかし,現場透水性が著しく小さく,地下水位が慢性的に高い地域では簡易排水システムの効果は不十分であった.以上により,地下水位が高い不適地を避け,簡易排水システムの施工を前提とすることで,ダイズの不耕起播種栽培は出芽が安定化し,多雨条件における高能率作付け法として実用化が可能になる.これにより,愛知県に展開するような大規模ダイズ栽培における適期内の播種が可能になり,低収で年次による変動が大きい愛知県のダイズ収量を大幅に改善できると考えられた.
- 日本作物学会の論文
- 2007-04-05
著者
-
濱田 千裕
愛知県農業総合試験場企画普及部
-
釋 一郎
愛知県米麦振興協会
-
澤田 恭彦
愛知県農業総合試験場作物研究部
-
濱田 千裕
愛知県農業総合試験場安城農業技術センター
-
釋 一郎
愛知県農業総合試験場安城農業技術センター
関連論文
- ダイズ不耕起播種栽培の出芽期における冠水害の発生要因(栽培)
- 16-24 水田における栄養塩類の収支に関する研究(第1報) : 水稲生育に伴う暗渠水中の栄養塩類の経時変化(16.水田土壌肥沃度)
- 愛知県において77年間継続した四要素及び堆肥施用試験における各要素の効果発現の特徴と気象条件との関係 : 主成分分析による解析
- フタスジヒメハムシ幼虫によるダイズ根粒摂食被害と防除法の開発
- ダイズ害虫フタスジヒメハムシの発生実態と防除
- フタスジヒメハムシによるダイズ根粒被害の実態と防除
- 愛知県の田畑輪換水田ほ場における帰化アサガオ類(Ipomoea spp.)の発生実態
- 愛知県田畑輪換水田ほ場における帰化アサガオ類の発生状況
- 営農現場と連携した生産性改善--増収だけの多収技術は農家経営には導入されない (日本作物学会・日本育種学会合同シンポジウム 多収を中心とする研究の現状と展望)
- ダイズにおける省力的摘心機の開発と処理効果