年齢別体格評価表の提案
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概要
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背景:体格の死亡危険評価は生命保険事業にとって重要な課題である。体格についての臨床研究や保険医学的研究報告はいくつかあるものの,体格指数ごとに性別,年齢階級別に長期間に亘る観察報告は見られなかった。最近,多数の成人の年齢階級別及び思春期の青年男女についての体格指数ごとの死亡危険に関する長期間の経過観察をした報告がEngeland等によりなされた。そこで,この結果を利用しかつ,日本人と欧米人では体格指数による死亡危険度は異なることを加味して日本人における年齢階級別体格評価表の作成を試みた。方法:Engeland等のノルウェー人成人についてのデータと日本人成人の被保険者や住民のデータを比較して各体格指数ごとの相対死亡危険度の人種差による比を求め,Engelandの年齢階級別データより日本人成人の年齢階級別死亡指数を算出した。14-19歳ノルウェー人男女についてのEngeland等のデータにより評点を付すべき体格指数範囲の死亡指数を求め,20-29歳の同じ体格指数範囲による死亡指数との比を求めた。文部科学省学校保健統計調査のデータによりEngeland等の結果に匹敵する体格指数範囲を求め,日本人20-29歳の同じ体格指数の死亡指数に先にノルウェー人にて求めた比を乗じて日本人14-19歳男女の体格指数別死亡危険評価表を作成した。さらに,文部科学省学校保健統計調査と厚生労働省乳幼児身体発育調査報告書のデータより小児科学的に各年齢層における異常値と考えられるパーセンタイル値を求め,乳児,幼児,小児の体格評価表を得た。乳児を除き,すべて身長と体重の相関を評価対象とした。乳児では身長または体重の両者を評価対象とした。結果:成人では,20-29歳男性,70-74歳男女の痩せについてと40-49歳男性の肥満については危険評点を付加する必要はないが,他の年齢階級では痩せ及び肥満について評点を要し,女性の方が男性よりも痩せと肥満の両方についてより高い評点を要した。14-19歳の男女については痩せは評点は不要であるが,肥満については20-29歳の男女それぞれよりも高い評点を要した。小児,幼児では各身長において97パーセンタイル超または3パーセンタイル未満を,乳児については身長と体重のいずれかが97パーセンタイル超,3パーセンタイル未満んを標準下体とした。結論:日本人向けの乳児,幼児,小児,14-19歳,成人では10歳刻みの年齢階級での体格評価表を作成した。特定の年齢範囲では痩せは危険評点は不要であるが,一般的に肥満については年齢が若いほど危険評点は高くなった。
- 2006-03-17
著者
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