日本人胃がんの危険評価 : Mortality Methodologyによる全国胃がん登録調査報告第55号データの解析
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概要
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[背景]胃がんは,わが国では肺がんについで悪性腫瘍による死亡原因の第2位を占めるばかりか,その死亡者数は減少傾向にある世界的趨勢に反して,むしろ増加傾向にあり,わが国自身のデータにも基づくその正確な生命危険評価は保険医学上の重要課題である。[方法]全国的規模で行われた胃がん患者の予後調査報告1999年版である,全国胃がん登録調査報告第55号(昭和62〜平成2年症例)のデータをCutler-Ederer法により解析し,性,年齢,進行度ステージ,組織型,腫瘍位置等のリスクファクターについて死亡指数の観点から予後比較を行った。報告されていない6年目以降の予後については指数関数による近似曲線から求めた。年齢性別による危険評価は削減法により,臨床進行度や腫瘍進展度分類による評価には期限付料増法を用いた。[結果]報告されている調査範囲内である5年以内の各観察区間では,性,年齢,進行度ステージ,組織型,腫瘍位置等のリスクファクターによる治療直後の死亡指数の差は大きいが,経過とともにその差は小さくなった。年齢,性別による予後解析では,報告されている観察期間内に標準体となることはなかったが,指数近似曲線により観察期間以降の死亡指数を推測すると,治療後8年以内に標準体になると推測された。臨床進行度,腫瘍進展度による予後解析では,ステージIやT_0などの早期のものは術後1年以内より被保険体と成り得,かつ5年以内に標準体となった。進行したものでも指数近似曲線による推測では手術後7年目には標準体になると予測された。また,胃がんの危険評価法では,年齢性別による区分では削減法が,臨床進行度や腫瘍進展度による区分では期限付料増法が適当と考えられた。[結論]Cutler-Ederer法によるわが国の胃がん患者のデータ解析により,2-3年間の延期期間後に年齢性別区分では削減法にて,進行度区分では期限付料増法により引受可能である。これらの方法による危険評価を提唱した。
- 2005-06-17
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