非妊時の体格別にみた妊娠母体の至適体重増加量に関する研究

概要

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妊娠に伴う至適作垂増加量を探るために,非妊娠時の肥満度を指標にした母体体重増加量と母児の予後との関連性をレトロスペクティブに解析した。単胎で正期産分娩の502例(内科的な合併症や帝王切開の既往のある症例は含まれていない。年齢は30.2±4.9歳)を非妊時のBMIにより,やせ群(BMI<18,47例),標準群(18≦BMT≦24,390例),肥満群(BMI>24,65例)の3群に分類し,分娩直前の母体体重増加量,妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の発症頻度,分娩様式,分娩週数,胎児発育あるいは産褥1ヵ月目の母体体重を調べた。また,各部における妊娠中の体重増加の分布を妊娠中の体重増加量の平均値から,4kg未満,4kg以上8kg未満,8kg以上12kg未満,12kg以上16kg未満,16kg以上の5群に分類し,同様の検討を行った。妊娠に伴う3群間の母体体重増加量には差は認められなかった。しかし,肥満群では体重増加量が8kg以下である症例が多く,また16kg以上の症例も多かった。妊娠高血圧症候群の発症頻度は3群間に差はなかったが,妊娠糖尿病は肥満群だけで認められたことから,非妊時に肥満である母体については厳重な体重管理の必要性が示唆された。一方,やせ群ではLFD児の分娩が,肥満群ではHFD児の分娩の頻度が高かったことから,非妊時に極端なやせや肥満である母体については妊娠経過に応じて詳細に,頻繁に胎児発育をチェックしながら,個々の症例に応じた母体栄養代謝を管理する必要のあることが示唆された。また,極端な体重増加になる母体では産褥後に非妊時の作重に復古できない傾向がみられたので,分娩直前の体重増加が大きい症例については分娩直後から分娩を担当した医療スタッフによる栄養指導と体重管理が必要と思われる。

非妊時の体格別にみた妊娠母体の至適体重増加量に関する研究

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