産褥月経開始後に急速に増大した再発顆粒膜細胞腫の1例

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卵巣顆粒膜細胞腫（GCT）は性索・間質系腫瘍の境界悪性に分類され，卵巣悪性腫瘍の2〜5%を占める比較的まれな疾患である．今回われわれは，妊娠中に再発を発見し産褥月経開始後に急速に増大した顆粒膜細胞腫の1例を経験したので報告する．症例は30歳初産婦の女性．他院で卵巣腫瘍のため右付属器摘出術を施行され，成人型顆粒膜細胞腫（AGCT）pT1c（a）NXMOの診断を受けた．後療法せず経過観察されていたが，術後2年3ヵ月で妊娠し，初期の超音波検査にて右骨盤内腫瘍を指摘された．妊娠16週のMRIでAGCT再発の疑いの診断のもと妊娠20週に右骨盤内腫瘍の生検が施行され，病理結果はAGCT再発であった．以後妊娠中は，単純MRI拡散強調画像を用いて腫瘍進展を評価したが腫瘍増大を認めなかったため，妊娠37週に選択的帝王切開術を施行，同時に回盲部付近以外の腫瘍を可及的に摘出した．産褥期より抗癌剤療法を勧めるも本人の同意得られず画像により腫瘍を経過観察した．腫瘍増大はごくわずかであったが産褥3ヵ月より月経開始し，その2ヵ月後のMRIにて右腎上極の腫瘍が急速に増大したため，手術により可視できる腫瘍をすべて摘出した．腫瘍径の経過より腫瘍のホルモン依存性が考えられるため，今後再発時における治療法としてホルモン療法も選択肢の1つとして挙げられる．〔産婦の進歩63（3）：289-294，2011（平成23年8月）〕
近畿産科婦人科学会の論文

産褥月経開始後に急速に増大した再発顆粒膜細胞腫の1例

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