準体助詞の全国分布とその成立経緯
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
準体助詞には,本州ノ,九州ト,土佐・北陸・山陰ガ,新潟県ガン,山形県ナ等がある。地理学的には連体格から発達したノ・ガが新・古の関係,ト・ナは地域性が強くて更に古く,格助詞トとナリに由来すると推定した。文献からは,ノは中央語である近畿で近世初期には発達したとされ,恐らく江戸も同じ。一方,新潟・土佐・九州の近世方言文献によれば,他の形式もこれに遅れない時期に独自に発達したと考えた。その分布要因は,ノ・ガの尊卑表現と連体格/主格の構文分担機能とが関連し,ガは周辺地域で前者が,ノは中央地域で後者が優位の時期に発達し近隣へ伝播したと推測した。発展的用法であるノニ・ノデ・ノダ等の論理的表現は中央語が先かと思われ,地方語との差異も見られる。
- 2006-10-01
著者
関連論文
- 準体助詞の全国分布とその成立経緯
- 桑名藩家中弁の成立と終焉 : 原因・理由表現の考察から
- 東海・東山地方における意志・推量表現の交渉と文化
- 「寒いけれども〜」(『方言文法全国地図』)の解釈 : 逆接確定表現の言語地理学的考察
- 近世中頃の中国地方山間部における格助詞ノとガの用法 : 「石見方言茶話」「田植歌」の考察から ( 彦坂佳宣教授退職記念号)
- 近世中頃の中国地方山間部における尊敬語辞類 : 『石見方言茶話』の模様と日本語史における位置 (中西健治教授退職記念論集)
- 『航米日録』と『広八日記』の比較考察(2012年度萌芽的プロジェクト研究B1西洋見聞集研究会研究報告近代言語文化期前夜の様相)
- 尊敬語補助動詞類の分布とその史的経緯 : 『方言文法全国地図』「書きますか」を主として