Mahayanasutralamkaraにおけるnimittaの位置づけ
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概要
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nimittaという語は瑜伽行派の様々な学説を論ずる際に重要な役割を果たしているが,周知のようにその三性説における分類の仕方は一定していない.ここで問題となるのは,nimittaがMAVにおいてはparatantrasvabhavaとして定義されているのに対して,MSAではparikalpitaの文脈の中で扱われているということである.このことは,少なくともnimittaに関する限り,両者に先行すると思われるVinSgがMAVと同一の分類を行い,一方で,MSAの構造を受け継いだMSがMSAの分類にしたがっているということを考慮すると非常に興味深いものである.もちろんこの相違の一因は,MSAが他の諸論書とはちがって,nimittaを五事説の文脈で扱っていないという点にあるが,瑜伽行派におけるnimittaという語そのものの重要性を考えると,nimittaという語に対する理解そのものの何らかの違いが反映されていると考えることは妥当であろう.そこでまず本論文では,MSA及びそれに対するスティラマティの注釈の解釈を再検討することを通して,MSAにおけるnimitta解釈と,それがいかにして遍計されたものの特徴と認められるのか,ということを考察する.
- 日本印度学仏教学会の論文
- 2007-03-25
著者
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松田 訓典
東京大学東洋文化研究所
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松田 訓典
University of Tokyo
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松田 訓典
Institute For Advanced Studies On Asia University Of Tokyo
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