健常大学生に対する初回マルチフィードバック法の効果

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マルチフィードバック法は,患者の病態を反映する可能性のある指標を複数提示する技法である.患者はそれらの指標の中から合目的的な学習の余地と生理学的反応性を備えた指標を選択,制御することができるため,様々な症状に適用することができる.これまで,臨床データとしてマルチフィードバック法の有効性を報告してきたが,基礎実験データとしてその効果を検対していない.また,マルチフィードバック法を行う際,どこまで指標を制御すればよいのか,いわゆる制御目標値を問われることがある.そこで本実験では,健常大学生に対し前頭筋筋電図,僧帽筋筋電図,指尖皮膚温を用いたマルチフィードバック法による自己制御を1セッション行い,その生理学的反応性を検討すると共に,患者の制御目標値について考察した.実験参加者は,健常大学生30名を対象とし,マルチフィードバック法を行う群(BF群),フィードバックを行わず安静状態を保つ統制群(CO群)の2群に15名ずつ無作為に割り当てた.実験は,フィードバック前試行,フィードバック試行4試行,フィードバック後試行の計6試行で構成した. その結果,CO群に比して,BF群のほうが前頭筋筋電図,憎帽筋筋電図が減少し,指尖皮膚温が下降した.前頭筋筋電図の減少は統計的に有意であったが,その他の指標の試行間に有意な差は見られず,群間の差も見られなかった.指尖皮膚温は自律神経系の支配を強く受けたり定位反応が生じたりするため,今回の初回訓練のみでは制御の獲得に至らなかった可能性がある.そのため今後,セッションを重ねて検討する必要がある.その際,訓練初期の皮膚温制御は,複数の指標を用い自律性反応の統合を図るマルチフィードバック法を適用するごとで,より効果的な訓練を可能にすると思われる.また,前頭筋筋電図はFB1で有意な減少が見られ,合目的的な学習の余地と,生理学的反応性を有した指標であることが示唆された.一方で前頭筋筋電図はFB2以降に,僧帽筋筋電図はすべての試行間に有意な差が見られなかった.前頭筋筋電図は天井効果により,僧帽筋筋電図は初期値の法則により,合目的的な学習の余地が減少した可能性がある.このことは,本実験における両筋電図のデータが患者の制御目標値となる可能性を示唆するものといえる.
2007-04-28

健常大学生に対する初回マルチフィードバック法の効果

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