博物館の公開性をめぐる論理のアポリア : アボリジニの実践と調査者の関与(<特集>表象・介入・実践 : 人類学者と現地とのかかわり)
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概要
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オーストラリアの先住民アボリジニが暮す大陸北部海岸部のアーネムランドにある調査地では、1970年代から何度も地域博物館(Local Museum)・収蔵館(Keeping Place)についての計画が持ち上がり、議論され、暗礁に乗り上げ、実現しない、という経緯が繰り返されてきた。1970年代から現在にかけての時期は、アボリジニの美術工芸をめぐって国際的、国内的に大きな変化があった時期でもあり、また、オーストラリアの各都市にある主流博物館に代表されるオーストラリア主流社会におけるアボリジニへの態度に大きな変化があった時期でもある。こうした外部主流社会の変化に対応する中で、調査地のアボリジニ社会もまた大きく変化してきた。調査者である自己をその変化のなかにあらためて定位してみると、調査者は、その変化に大きく巻き込まれ、結果として大きくかかわることになっていたことに気付かされる。一方で、それと同時に、アボリジニの人々が主流社会の論理と地元の二つの論理の間のアポリアを、主体的に生きることを可能にするような選択を行っているという側面も見えてくる。調査者の関与を彼らの社会変化の中に位置づけることによってより動態的な彼らの変化の理解に至る可能性を考える。
- 2006-03-31
著者
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