地方分権化が国税と地方税の最適税率および経済成長率に及ぼす影響についての考察
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概要
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本稿ではBarroタイプの多地域内生成長モデルを用いて,地方分権化が国税および地方税の最適税率に及ぼす影響,さらには地方分権化が経済成長率に及ぼす影響を分析している。その結果,以下の3点が確認できた。第1に,国税と地方税の最適税率は独立には決定されず相互に代替的な関係があり,中央政府から地方政府へのトランスファーがない場合 (完全な地方分権の場合) においては,最適税率は各々の供給している公共財に対する生産物の弾力性に等しく決まる。第2に,トランスファーがある場合においては,国税と地方税の最適税率は地方分権指標に依存し,地方分権を推進すると国税の最適税率は低下し,地方税の最適税率は上昇する。第3に,中央政府と地方政府が独立に問題を解く場合において,地方税の税率は過小税率,国税の税率は過大税率となる。この場合,経済成長率は地方分権指標に依存し,地方分権指標が上がるほど経済成長率が高まる。この結果は,Oatesの主張および近年における地方分権と経済成長についての実証結果と整合的である.
- 名古屋商科大学の論文