流通技術の国際移転 : メトロキャッシュアンドキャリージャパンのケース
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
これまで国際技術移転に関する議論は、製造業を中心に展開されており、流通業に関しては、(1)企業特殊的な流通技術の移転、(2)移転側企業(送り手)の内部要因の影響、(3)現地側(受け手)要因の影響について、さらなる研究の蓄積が必要であるといえる。そこで、それぞれに対応するテーマとして、(1)企業特殊的流通技術の移転方法、(2)移転側企業の技術移転における戦略・体制、(3)送り手と受け手の関係が重要な研究領域であると考え、それを明らかにする目的で、メトロキャッシュアンドキャリージャパンのケースを調査・分析した。同社では、集中させる技術と分散させる技術とが明確に分かれており、前者は移転後のカスタマイズにより、後者は移転後のトライアル&エラーにより、日本への移転がなされていた。しかもこのような移転の方法は、本社の戦略・方針において明確にされており、そのための手続きや組織体制も確立されていた。さらに本社の戦略・方針について、派遣側と日本側スタッフとがコンセンサスを取る仕組みや、技術移転後のトライアル&エラーのためのコミュニケーションおよび意思決定の方法も確立されていた。同社のケースから、流通技術の国際移転に当たり、(1)移転基準に沿った適切な移転方法の選択、(2)それを実現するための本社の戦略策定と体制の整備、(3)受け手とのコンセンサスやコミュニケーションのための体制の確立、という要素の重要性が示唆された。
- 国際ビジネス研究学会の論文
- 2006-09-30