17β-エストラジオールはHT22細胞においてグルタミン酸に誘起されるAkt及びその下流標的分子の減少を抑制する(解剖学)
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概要
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エストラジオールは,海馬由来細胞株(HT22)において,グルタミン酸による毒性作用に対し神経保護作用を果たすことが知られている.本研究では,エストラジオールがAkt及びその下流の標的分子(Badならびにフォークヘッド転写因子であるFKHR,FKHRL1を含む)のリン酸化を通して,抗アポトーシスシグナルを調整するのか否かを検討した.17β-エストラジオール前処置は,HT22細胞においてグルタミン酸の毒性作用により誘起される細胞死を減少させた.また17β-エストラジオール前処置は,グルタミン酸のみ投与の細胞に比べ,TUNEL陽性細胞を有意に減少させた.活性化の度合いは,AktのSer^<473>,BadのSer^<136>,FKHRのSer^<256>及びFKHRL1のThr^<32>のリン酸化を,ウェスタンブロットにより解析することで計測した.17β-エストラジオール前処置は,グルタミン酸により誘起されるpAkt(リン酸化Akt),pBad,pFKHR及びpFKHRL1の減少を抑制した.これらの結果は,17β-エストラジオールがグルタミン酸により誘起される毒性作用に対し有効な神経保護作用を示すことを明瞭に確認させ,また17β-エストラジオールによるAkt及びその下流標的分子のリン酸化が,その保護作用を仲介することを示唆する.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2007-03-25
著者
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