再構築CT画像による上顎臼歯部へのスクリュー型TAD(Temporary Anchorage Device)植立部位の評価
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概要
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近年,スクリュー型Temporary Anchorage Device(以下,スクリュー型TADと略す)を植立し強固な固定源を獲得することで,患者の協力度に左右されることのない治療が可能となってきた.しかし,植立時の外科処置において,上顎洞への穿孔やスクリュー体の歯根への接触等の偶発事故を起こす危険性がある.そこで今回,CT画像を用いてスクリュー型TADに最適の植立部位を検討した.被験者は,大阪歯科大学附属病院矯正歯科に来院した歯周組織の健全な男性20名である.各被験者から得られたCT画像データを用いて上顎臼歯歯頸部から根尖側に向かって歯頸部骨縁部(0mm),2mm,4mm,6mmおよび8mmのスライス画像を作製した.各スライス画像上で右側における第一小臼歯-第二小臼歯間,第二小臼歯-第一大臼歯間,および第一大臼歯-第二大白歯間の頬側歯根間距離,口蓋根間距離および歯槽骨幅径を計測した.また,第一大臼歯部と第二大臼歯部における歯頸部骨縁から上顎洞底までの距離をそれぞれ計測し,各パラメータについて比較検討した.その結果,歯頸部骨組から4mm以上根尖側の歯根間距離および2mm以上根尖側の口蓋根間距離は,第二小臼歯-第一大臼歯間が他の部位よリ有意に大きいことがわかった.上顎臼歯部の歯槽骨幅径は,根尖側および遠心方向へ向かうほど大きくなることがわかった.また,第一大臼歯部と第二大臼歯部における歯頸部骨縁から上顎洞底までの距離は,第一大臼歯部の方が有意に大きいことがわかった.以上の結果より,上顎臼歯部の頬側ヘスクリュー型TADを植立する場合は,第二小臼歯-第一大臼歯間の歯頸部骨縁から根尖側4〜6mmの部位に植立し,口蓋側に植立する場合は第二小臼歯-第一大臼歯間の歯頸部骨縁から根尖側2〜6mmの部位に植立することが,歯根や上顎洞の損傷を考えた場合,最も安全である可能性が示唆された.
- 2007-03-25
著者
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