ハワード・オヘイガンの小説にみるカナディアニズム : 「直線派」と「曲線派」の相克
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概要
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カナダの作家ハワード・オヘイガン(1902-82)の小説におけるカナダ性について考察する。第二の大陸横断鉄道敷設時代,カナディアンロッキーの未開地が抱えていたカナダ事情が,作品世界でいかに表象されているかを探る。先駆性ゆえに注目を浴びた代表作『テイジョン物語』(1939)をはじめ,もうひとつの長編小説で伝統的なロマンスでもある『女教師の木』(1977),ノンフィクションの体裁を持つ物語集『未開地の男たち』(1958)を取り上げる。未開地への鉄道敷設により文明化されるとするカナダ西部開拓のコンセプトを検討するに当たり,マーガレット・アトウッドが『サバイバル』(1972)で範疇化している「直線派」と「曲線派」の相克というモチーフを援用する。この二項対立の概念は、オヘイガンの作品世界ではダブルヴィジョンと化し,作品構造においても人間創造においてもポストモダニズムの諸相を先取りしていることがうかがえる。
- 2007-01-31
著者
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