骨粗鬆症患者における脊椎骨折と身体機能との関連

概要

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無症候性である場合が多い骨粗鬆症性脊椎骨折の有無が,運動機能,生活機能および転倒に及ぼす影響について検討した。閉経後骨粗鬆症に対して薬物療法を施行されている,60歳以上の女性35名(平均年齢72.0±6.4歳,平均踵骨骨密度0.64±0.06g/cm^2)に対して横断調査を施行した。脊椎骨折の有無は診断基準に従って,単純レントゲン写真より判定した。運動機能の測定項目としては,下肢筋力,握力,最大歩行速度,Timed Up & Go testを行い,生活機能として老研式活動能力指標を実施した。転倒に関しては,過去1年における転倒歴の有無を聴取し,Modified Fall Efficacy Scaleを用いて転倒恐怖の有無を評価した。脊椎骨折を有する患者(骨折群)と有さない患者(非骨折群)に分け,運動機能,生活機能,転倒歴の差を検討した結果,骨折群では,最大歩行速度と老研式活動能力指標の下位項目である知的能動性が有意に低下し,転倒歴を有する患者が有意に多いことが認められた。最大歩行速度や知的能動性の低下は,将来の基本的ADLやIADL能力の障害や転倒および新規の骨折発生を予測する因子である。臨床で見逃されやすい脊椎骨折の存在は高齢者の自立生活を阻害する可能性となりうることが示唆された。
社団法人日本理学療法士協会の論文
2007-02-20

骨粗鬆症患者における脊椎骨折と身体機能との関連

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