イネ幼苗における低温ストレス応答に対する遺伝的機構
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概要
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低温は植物の生存・生長・生産性を規定する主要な環境要因のひとつであり,主要作物であるイネの低温ストレス応答に関する研究は,基礎と応用の両面において重要な意義をもつ。本研究では,イネの生長過程にあらわれる低温障害の諸様相を詳細に解析すると共に遺伝子産物であるタンパク質の発現パターンの変動を時系列的に比較検討した。イネ幼苗に5℃の低温処理を施すと,その後の生長が顕著に抑制・阻害された。生長阻害の程度は低温処理時間が長いほど大きかったが,生長率はむしろ上昇し処理時間による影響の差がほとんどなかった。鞘葉の伸長からみた低温処理による細胞伸長の阻害は,1日間処理で飽和に達した。また,種子根は,幼芽より低温傷害を受け易いことが明らかになった。SDS-PAGE法によるプロテオーム解析の結果,低温ストレスにより発現量が変動したタンパク質には,既知の低温応答に関係するイネタンバク質に対応するものが幼芽では9種,種子根では6種含まれていることが明らかになった。それ以外に,幼芽で5種,種子根で3種の新規タンパク質が見出された。イネ低温応答タンパク質に対応する幼芽のタンパク質の発現結果から,アブシジン酸依存性および非依存性の2種類の低温シグナル伝達経路が相互に関連し合って,低温耐性機能の発現を図っているものと考えられる。
- 京都教育大学の論文
- 2004-03-31
著者
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