季吟編『続連珠』句引の誤脱
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概要
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北村季吟編『続連珠』は、その末尾に「続連珠作者并句数」(いわゆる「句引」)を付載している。こうした句引の内容については、従来は版本に直接当たらなければ把握できなかったのであるが、近年刊行された『貞門談林俳人大観』によって、貞門派、談林派のほとんどの撰集の句引を容易に閲覧し、その内容を利用し得るようになった。筆者は、現存する唯一の完本と思われる東京大学総合図書館竹冷文庫所蔵『続連珠』の翻刻許可を得て、その全貌を明らかにする作業に携わっているが、その過程で、この「続連珠作者并句数」中に、二百十九箇所に及ぶ誤謬、脱落、不統一などの存することを発見した。これは、実際の収録句すべてに当たり直して筆者が作成した「続連珠住国・作者別収録句索引」との比較によって判明したものである。近世俳諧の研究者が、その著書や論文に『貞門談林俳人大観』所収の「続連珠作者并句数」をそのまま引用する機会は少なくなく、その誤脱の及ぼす影響は大きいものがある。ここに、その誤脱を内容により十項目に分類し、正誤表を作成して公表することとした。さらに、これら大量の誤脱の原因を、本文や句引内での作者、収録句の見直しによる移動、『続連珠』『誹諧用意風躰』刊行の背景、などの諸点から考察した。
- 2005-03-31