免疫最前線 : リピッドラフト(Lipid Raft)細胞活性化のための"脂肪の筏"
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概要
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近年,スフィンゴミエリンとコレステロールからなる細胞膜マイクロドメイン(リピッドラフト)が,細胞活性化シグナルの足場として注目をあびている。リピッドラフトには,細胞活性化に重要なシグナル伝達物質が局在している。免疫シナプス形成に重要なT細胞レセプターの凝集ヤアポトーシスに重要なFasの凝集過程にもリピッドラフトは深く関わっている。リピッドラフトは,T細胞に限らずあらゆる血球系細胞の細胞膜に存在するため,その異常は自己免疫疾患,抗癌剤耐性機序,病原体感染症などさまざまな病態に関連する。我々は,リピッドラフトの主要構成脂質であるスフィンゴミエリン合成酵素遺伝子の同定に成功した。さらに,スフィンゴミエリン欠失細胞にこの合成遺伝子を導入し,Fas誘導アポトーシスにおけるリピッドラフトと細胞膜スフィンゴミエリンの重要性を証明した。リピッドラフトの制御は,新たな免疫抑制剤や抗癌剤の開発につながるものと期待される。
- 金沢医科大学の論文
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