透析導入後における糖尿病性腎症の腎体積と後天性腎嚢胞の発生に関する研究 : 慢性糸球体腎炎との比較
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概要
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目的:糖尿病性腎症における腎体積および後天性腎嚢胞発生について検討した。対象と方法:年齢,性別,透析期間をマッチさせた糖尿病性腎症群と慢性糸球体腎炎群の患者(57.6±12歳)それぞれ56例(男性33例,女性23例)を対象に,平均59ヵ月(11-147ヵ月)間,腎体積と後天性腎嚢胞の発生を観察した。また腎体積に影響を及ぼす因子についてロジステックモデルを使用し多変量解析で検討した。なお腎体積はCTスキャンによって測定し,嚢胞の程度(grade数0-4)を2群で比較した。結果:糖尿病性腎症における腎体積は透析導入時から7年後までは慢性糸球体腎炎より大きかった。糖尿病性腎症患者は慢性糸球体腎炎より透析導入後の腎萎縮が遅く,後天性腎嚢胞の発生も遅れていた。透析導入時における糖尿病性腎症の腎体積にはばらつきが大きかったため,導入時の腎体積にあたえる因子について検討した。その結果糖尿病の腎体積と腎症の期間(タンパク尿が陽性となってからの期間),導入時血清クレアチニン値および血清アルブミン値の間には負の相関がみられた。多変量解析では導入時の腎体積に影響する因子として血清クレアチニン値および血清アルブミン値が関与することがわかった。結論:糖尿病性腎症の腎体積は透析導入時から7年後までは慢性糸球体腎炎のものより大きく,後天性腎嚢胞の発生が遅れていた。糖尿病性腎症において透析導入時腎体積が大きい症例は透析導入時血清クレアチニン値および血清アルブミン値が低かった。
- 金沢医科大学の論文
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