色素性乾皮症,Bloom症候群,Cockayne症候群患者由来細胞のDNA修復機構の研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
高頻度発癌あるいは神経・免疫系の異常を伴う遺伝性光線過敏性皮膚疾患には色素性乾皮症(XP), Bloom症侯群(BS), Cockayne症侯群(CS)などが知られている。この中でXPはその病因としてDNA修復機構の1つである除去修復能の欠損していることが証明されているが,この周辺疾患ともいえるBS,CSの病因については不明な点が多い。そこでこれらの病因を解明する目的で,今日知られているDNA修復機構の測定法を用いて以下の実験を行なった。対象にはXP 5例,BS 2例,CS 3例の患者皮膚より培養した線維芽細胞を用いた。方法:1)コロニー形成法によって,紫外線感受性を測定した。2)ヘルペスウイルス(HSV-I)を用いた宿主細胞回復能(HCR)をみることによって紫外線感受性と除去修復能を測定した。3)不定期DNA合成(UDS),平衡密度勾配法による修復複製の測定によって除去修復能を検討した。4)アルカリ庶糖密度勾配法によって複製後修復能を検討した。結果:XPでは紫外線高感受性があり,除去修複能の欠損を認めた。XP4CBはUDSが100%でありXPバリアントと考えられるが,除去修復能,複製後修復能いずれにも異常を認めた。BSではDNA修復異常を示唆する報告もあるが,自験例ではどの測定法でも異常を認めなかった。CS3CBは典型的なCSの臨床症状を呈しながら除去修復能の低下を認めた。以上より,XPに相補性群があり多様性があるようにBS,CSについても疾患の遺伝的多様性があり,従来知られている以上のDNA修復機構の多様性があることが示唆された。
- 千葉大学の論文
著者
関連論文
- 水疱を多発したSLE
- インターロイキン8 : 乾癬における役割について
- 色素性乾皮症,Bloom症候群,Cockayne症候群患者由来細胞のDNA修復機構の研究
- 皮膚真菌症に対するTiconazoleクリ-ムの使用経験
- Bloom症候群の姉妹例
- アフロクァロンによる光線性白斑黒皮症の1例
- 皮膚有棘細胞癌細胞株(SCC-1CB)の樹立とその性状