二酸化窒素およびタバコ煙暴露の呼吸器におよぼす影響に関する実験的研究

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大気汚染物質のNO_2とタバコ煙の複合影響による呼吸器の病理組織学的変化について明らかにする目的で,Wistar系雄ラットを10ppm NO_2に連続暴露し,同時に週4回タバコ煙の複合暴露を行ない,52週まで経時的に屠殺し,病理組織学的,電顕的に検索した。タバコ煙暴露群では主に気管,気管支に変化がみられ,線毛細胞の扁平化や線毛の短縮化(2週),気管,気管支壁の浮腫性膨化,膠原線維の増生,リンパ濾胞の著明な増加とともに,細気管支における無線毛上皮細胞の腫大を認める。しかし,肺胞領域における変化は明らかではない。NO_2暴露群では早期から肺胞領域が障害され,肺胞上皮細胞の空胞変性や肺胞壁間質の水腫を生じ,20週以後では肺胞壁の肥厚がみられ,一部に線維性肥厚も認められた。複合暴露群では,気管,気管支の障害と肺胞の障害がいずれも単独暴露群よりも早期に起こることが明らかであった。さらに,8〜16週に末梢の細気管支から肺胞にかけて上皮細胞の腫大と増生が認められた。しかし,20週以後は腫大,増生は軽度となり,36週では線維の軽度の増生を伴っていた。複合暴露による細気管支上皮細胞の増生は,現実に喫煙と大気汚染物質が重複して生体に影響を及ぼす可能性を示唆している。
千葉大学の論文
1991-06-01

二酸化窒素およびタバコ煙暴露の呼吸器におよぼす影響に関する実験的研究

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