神経芽腫に対する単クローン抗体の作製とその認識抗原の解析
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概要
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神経芽腫の分化抗原を認識する単クローン抗体を作製することを試み,新しい単クローン抗体PI-16(IgG_1)と,PI-17(IgM)を得た。免疫組織化学的,生化学的解析により,PI-16の認識抗原は分子量204kdのタンパク質,PI-17の認識抗原はシアル酸含有糖脂質と考えられ,いずれもneuroectodermal lineageに関連した抗原であることが判明した。免疫組織化学的検索では,PI-16認識抗原は神経芽腫の分化度に関係なく広く発現していた。dbcAMPを用いた神経芽腰細胞株のin vitroの分化誘導では,PI-16認識抗原は分化に伴って発現量が増加し,分化度を定量的に解析する手段となりうることが示唆された。PI-17認識抗原は,免疫組織化学的検索から,高分化になると消失する神経芽腫の分化関連抗原であることが推察された。dbcAMPを用いたin vitroの分化誘導においても,PI-17認識抗原の発現は低下し,組織の結果と一致した。この2種の抗神経芽腫単クローン抗体は,神経芽腫の免疫組織化学的診断ばかりでなく,神経芽腫の分化度の指標として,また最終的には神経芽腫の分化の機序を解明する手段としての応用が期待されるものである。
- 千葉大学の論文
- 1990-04-01
著者
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