免疫抑制療法を施行した慢性心筋炎の3症例

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心不全症状あるいは不整脈が遷延し臨床上,拡張型心筋症と診断された症例に心筋生検を施行し,3例の心筋炎が確認された。同症例に免疫抑制療法を行い有効例を経験したので報告する。今回の3症例は全例,当科に入院するまで6カ月以上心不全症状や難治性不整脈が持続しており,臨床診断は拡張型心筋症であった。初回の心筋生検の結果は3例ともDallas criteriaでmyocarditisと診断され,長期における臨床経過から慢性心筋炎と考えられた。利尿薬,強心薬,抗不整脈薬などの一般的治療を用いても症状の改善はみられなかったため,免疫抑制療法としてステロイド療法を行った。プレドニゾロンを60mg/dayから始め,同量で4週間続け,その後2過ごとに10mgずつ減量した。20mg/dayになった時点で再度,心筋生検を施行し組織所見の変化をみた。心機能の評価は,心エコーと心プールシンチグラフィーを用いて行った。ステロイド療法によって3例中2例で心機能の改善がみられたが,他の1例は不変であった。2回目の心筋生検の所見は改善例2例がongoing myocarditisとresolved myocarditis,不変例がresolving myocarditisであり,組織所見の改善と心機能の改善が一致しない例が存在した。心機能の改善がみられたにも関らず組織所見で炎症の持続していた症例では,炎症部位は残存するも範囲が縮小した可能性が考えられた。組織所見で若干改善傾向を示したにもかかわらず心機能の改善が得られなかった例では心筋逸脱酵素の上昇が持続していたことや,Tcピロリン酸シンチグラムで心筋に集積がみられたことから心筋細胞障害が残りの2例に比べ広範囲であった可能性が考えられた。
千葉大学の論文
1993-12-01

免疫抑制療法を施行した慢性心筋炎の3症例

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