視覚と前庭覚のクロスモーダルな自己運動知覚(一般セッション(4),「手」,「感性情報処理」及びヒューマン情報処理一般)
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概要
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視覚と前庭覚のクロスモーダルな自己運動知覚において,その情報統合がベクトル合成を行なっている可能性を検証した.実験1では,同期した視覚と前庭覚の直交する運動情報から知覚された自己運動の方向が測定された.前後方向のベクションを生起させるのに拡大・縮小するランダムドットパタンが,前庭系に左右方向の継続的な加速度運動を与えるために振り子型可動椅子が,それぞれ用いられた.参加者にはロッドポインティングにより,知覚された自己運動の方向を報告させた.その結果,視覚と前庭覚に与えられた運動方向の中間の方向が知覚された.実験2では,ベクション刺激の拡大・縮小率を変化させた時の知覚された自己運動の方向に加えて,その距離もマグニチュード推定法で報告させた.その結果,刺激の拡大・縮小率に対応した自己運動の距離が知覚されたにもかかわらず,知覚された自己運動の方向は常に視覚情報と前庭覚情報の中間値であった.これらの結果は,視覚と前庭覚の情報統合でベクトル合成が行なわれている可能性よりも,自己運動の方向が距離とは独立に処理されている可能性が高いことを示唆する.
- 2006-11-30
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