価値概念の個人差とその背景 : 価値尺度作成課題による検討
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概要
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本研究では,同一の価値が観察者の価値態度如何によって多様に解釈され概念化され得るとするSpranger(1922)の見解に示唆を得て,価値尺度の作成過程に即して,価値概念の個人差およびその背景について検討した。心理学を専攻する大学生5名に対し,Spranger(1922)の提唱した6つの価値(理論・経済・審美・宗教・社会・権力)を測る尺度項目を作成するよう求め,作成された計60項目(5名×6価値×2項目)を,各項目作成者個人の価値概念の表現と見なし,個々の項目の特徴を明らかにするため,60項目と「価値志向的精神作用尺度」(酒井・久野,1997)との相関係数を求めた。その結果,60項目中38項目までは,「価値志向的精神作用尺度」における当該価値尺度と,.20以上の相関を持っていたが,中には,当該価値尺度とは殆ど無相関で,むしろそれ以外の価値尺度と相関を持つような,特徴的な項目も見出された。さらに,それらの特徴的な価値概念の形成に際して,項目作成者自身の個人的な価値態度が関与している可能性が示唆された。価値概念における多様性・主観性に目を向けることは,各価値の普遍的本質を明らかにしていく上で,重要な意義を持つと考えられる。
- 日本教育心理学会の論文
- 2001-03-30
著者
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