ミグゾラム-ケタミン-メデトミジンを用いた馬の全静脈麻酔の麻酔効果と心肺系への影響(外科学)

概要

論文の詳細を見る
ミダゾラム_ケタミン_メデトミジンを用いた馬の全静脈麻酔(MKM-TIVA)の麻酔効果と心肺系への影響を検討した.9頭の雄馬(サラブレッド種3頭,重種馬6頭)に麻酔前投薬としてメデトミジン5μg/kgを静脈内投与し,ミダゾラム0.04mg/kgとケタミン2.5mg/kgの静脈内投与で麻酔導入した後,MKM混合液(ミダゾラム0.8mg/ml-ケタミン40mg/ml-メデトミジン0.1mg/ml)を持続静脈内投与して去勢術を実施した.去勢術の総麻酔時間は38±8分間,外科麻酔維持に要したMKM混合液の投与速度は0.091±0.021ml/kg/時間であった.供試馬は麻酔終了後33±13分で起立し,麻酔回復は6頭で良好,3頭で許容できるものであった.この結果をもとに,臨床上健康なサラブレッド種5頭を同様のプロトコールで麻酔導入し,MKM混合液を0.1ml/kg/時間で60分間持続静脈内投与して心肺系への影響を検討した.麻酔中の心拍出量および心係数は安静起立時の70〜80%,1回拍出量は110%,全身血管抵抗は130%で推移した.麻酔中の動脈血炭酸ガス分圧は50mmHg前後で推移したが,動脈血酸素分圧は50〜60mmHgまで低下した.MKM-TIVAは,軽度の心肺抑制で外科麻酔を得られる馬の全身麻酔法と考えられた.MKM-TIVAでは低酸素血症を防止するため,補助的に酸素吸入すべきである.
2007-01-25