Four New Species of Deep-Sea Cumacea (Crustacea) from the Japan Trench
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概要
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1981年の夏期に,東京大学海洋研究所の「白鳳丸」によって行れた日本海溝および付近海域の研究航海(KH-81-4)で,釜石沖の日本海溝の水深5349-6416mの海底よリビーム・トロールによって採集された深海生のクマ類(甲殻類)の4新種,Bathycuma granulatum, B. declinatum(Bodotriidae科),Makrokylindrus(Coalescuma)micracanthus(Diastylidae科)とHemi-lamprops (?) abyssi (Lampropidae科)についての報告である。1. Bathycuma granulatum sp. nov.:ビーム・トロールにより水深5349-5368mと6348-6416mの所から採集された。完模式標本は体長18.1mmの抱卵した雌,別模式標本は体長15.7mmの亜成雄である。本新種はB.magna JONES,1969(インド洋のセイシェルとセイロン間の1040m深産)に酷似しているが,本種は甲背上に多数の小顆粒を有し,2列の鋸歯をもつ背面中央隆起線を欠くことによって明らかに区別される。2.Bathycuma declinatum sp. nov.:本新種は水深6348-6416mの海底より採集された完模式標本の体長3.2mmの雌と別模式標本の体長18.4mmの若雄によって記載される。本種に最も近縁と思われるものにB.rotunditectorum GAMO,1988(琉球諸島の宮古島沖,水深1600m)があるが,本種は擬額角上に小棘を有すること,第3顎脚の基節末端外側突出部がかろうじて長節中程に達しているに過ぎないことなどによって明らかに区別される。3.Makrokylindrus(Coalescuma)micracanthus sp. nov.:本種は水深5349-5368mの所から採集された体長11.9mmの成雌を完模式標本とし,体長8.9mmの若雄を別模式標本として記載される。本種は一見M.(M.)lomakinae BACESCU,1962(南西アフリカの水深4893m産),M.(M.)americana BACESCU,1962(太平洋東部熱帯海域,1784m深)およびM.(M.)vitiasi LOMAKINA,1958(千島・カムチャッカ海溝,2340m深)に似ているが,本種の第3・4自由胸節は背面で互いに融合しているので明らかに種を異にしている。4.Hemilamprops(?)abyssi sp. nov.:本新種は水深5349-5368の所より採集された体長4.8mmの未発達な抱卵葉をもつ若雌を完模式標本として記載される。Hemilamprops属は背中に触角を突出させるための欠刻を欠くが,この他近縁の属との区別に成雄の有する腹肢の数が重要視されている。本種は一見Mesolamprops abyssalis REYSS,1978(北大西洋,4667-4862m深産)に似ているが,本新種の背甲背面に棟を有し,尾節に2対の側棟をもっことで明らかに区別される。しかか,本新種が何れの属に属するかは,更に成雄の標本が得られるまで,本種の背甲に触角を突出させる欠刻がないため,一応Hemilamprops属に所属させることとし,確定的な属の決定は保留せざるを得ない。
- 1989-10-31
著者
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