文部省一せい学力調査の問題点
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概要
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東京と神奈川の公立中学校の教師に対して,文部省一せい学力調査に関する56項目の質問紙を送り,その回答を求めた。回収率は27パーセントで非常に低く,各項目についてのパーセントは母集団のそれを示すとはいいにくい。したがって分析的な考察を行ない,次の主な結論を得た。(1)現行の5教科だけの学力調査では不十分であって,全教科についてすべての学習領域を調査すべきである。(2)一せい学力調査は学力だけでなく,知能・性格・教育的環境条件なども同時に調査すべきである。(3)一せい学力調査は知的教科の偏重を助長するおそれがある。(4)一せい学力調査は個人指導に用いるよりは教育条件の改善にだけ用いるべきである。そしてこれは一せい学力調査が本来的な意義である教育調査に帰れということを意味する。(5)教師の反応を分析すると論理的に一貫しない反応をした教師が20〜30パーセントもおり,またテストの原理を知らない教師が約40パーセントもいる。この事実は教師の質的向上が必要であることを意味している。
- 横浜国立大学の論文
- 1963-11-15