ベルギー新自由主義とヨーロッパ協調 : ポール・ヴァンゼーラントを中心として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ポール・ヴァンゼーラントは,ベルギーにおける新自由主義の経済学者であり政治家である.彼は,大不況下でベルギー国立銀行副総裁から首相に就任し,不況の克服に尽力しただけでなく,当時対立が激しくなっていたヨーロッパにおいて協調への道を探ることに努力した.このような内政と外交政策は,ヴァンゼーラントの新自由主義的立場を背景として行われたものであり,当時の世界において大きな注目を集めた.戦間期におけるヴァンゼーラントのヨーロッパ協調路線は結局挫折し,第二次大戦を迎える.しかし,戦後ヴァンゼーラントは戦前の経験をもとに,民間のヨーロッパ統合団体を組織するとともに外相としてECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)の設立に直接参加し,ヨーロッパ統合を推進した.ヴァンゼーラントは首相や外相を務めたにもかかわらず,これまで資料上の制約もあり,スパークなど他の統合主義者に比べて十分な研究がなされてこなかった.本稿では,ヴァンゼーラントの著作や最近出版された評伝などを用いて,新自由主義者としての側面から彼の思想と活動について検討する.なお,その際,ベルギーの新自由主義者がカトリック社会教説の影響を受けた点にも留意する.
- 立正大学の論文
- 2005-11-30
著者
関連論文
- 戦間期における欧州統合構想
- 永岑三千輝・廣田功編著, 『ヨーロッパ統合の社会史-背景・論理・展望-』, 日本経済評論社, 2004年, vii+372頁
- 島田悦子著, 『欧州経済発展史論-欧州石炭鉄鋼共同体の源流-』, 日本経済評論社, 1999年, xi+312頁
- 欧州経済協力連盟の創設(I)
- EEC設立におけるベネルクス経済同盟の役割
- ベルギー新自由主義とヨーロッパ協調 : ポール・ヴァンゼーラントを中心として
- ベルギーにおける連邦制の成立過程(小林榮吾・齋藤道愛・森島賢教授定年退任記念号)
- ベネルクス関税同盟の設立
- ロベール・フランク著(廣田功訳), 『欧州統合史のダイナミズム-フランスとパートナー国-』, 日本経済評論社, 2003年7月, iii+183頁, 1,800円
- ベルキー・ルクセンブルク経済同盟の設立と展開
- ベルギ-の戦後再建と欧州統合--石炭業を中心に