広島市周辺の花崗岩中の天然放射能の測定
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概要
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約2年前に,広島市周辺の岩石粉末試料からのガンマ線を測定してカリウム(K),ウラニウム(U),そしてトリウム(Th)含有率を推定した。プラスチック容器に保管していた粉末試料からのガンマ線を再び測定して推定したK,UならびにTh含有率は2年前の測定値とよく一致した。このことはKならびにU系列とTh系列に属する元素が粉末試料の中でよく保持されていることを示唆している。広島市に近い倉橋島の採石場で得られた花崗岩は約5%の黒雲母を含有していた。その黒雲母を除いたところ,K含有率は13%減少したがUとThの含有率は変化しなかった。さらに,長石(主にカリ長石)と石英をそれぞれ倉橋島花崗岩から取り出して測定した結果2.3ppm Uと8.6ppm Th(長石),そして1.7ppm Uと9.6ppm Th(石英)であった。その倉橋花崗岩全体の測定結果は4.7ppm Uと25ppm Thであった。このことは,倉橋島花崗岩中のUとThの大部分がその黒雲母,カリ長石および石英以外の鉱物にあることを示唆している。本研究では広島市周辺の4つの採石場を新たに調査した。これまでに広島周辺の8採石場ならびに地表面の6岩盤からの花崗岩を測定した。その中で,5%以上のU含有率を示したものは倉橋島花崗岩と白黒の赤坂石(広島県福山市)だけであった。また,25ppm以上のThを含有していたのは倉橋島花崗岩だけであった。黒髪島(山口県周南市)からの花崗岩の中で戦前から切り出されていた岩盤からの石のU含有率は約4.3ppmであり,近年になって切り出されている場所からの石におけるU含有率の約2倍であった。赤坂および北木(岡山県笠岡市)からの白黒花崗岩は見た目が相互に似ているが,K,UならびにTh含有率のデータはそれらを区別する上で役立つと思われる。
著者
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