中古日本語における複合形式についての学説史
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概要
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本論において、中古日本語における複合形式とは、過去を表すとされる単独形式「き」「けり」と完了を表すとされる単独形式「つ」「ぬ」「たり」「り」が組み合わさった「てき」「にき」「たりき」「りき」「てけり」「にけり」「たりけり」「りけり」等の時間に関わる複合形式を指す。本論は、これらの複合形式についての従来の学説を検討したものである。検討の結果、明治時代前半においては、複合形式を過去を表す形式の一種とする研究が中心的であり、明治時代後半から昭和にかけては、完了の意味を表す形式の一種とする研究が中心的であったこと、平成に入っては、新たな文法的立場から複合形式の固有の意味を説明する研究が見られるようになったことなど、時代とともに変遷する学説の流れを明らかにすることができた。