張潮『幽夢影』解読
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概要
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張潮の『幽夢影』は明代晩期,及び清代に盛んに作られた「清言小品」という形式の作品の一つである。「小品」は明代と清代を代表する古典文学形式であり,「小品文」とも呼ばれ,「詩」,「詞」,「曲」などの韻を踏む文体と相対して,韻を踏まない「散文」である。このような明代・清代の「小品」という文学の中に,さらに「清言」という独特の文学形式が存在する。「清言」の厳密な定義は存在せず,当時自らの「小品」の作品を特に「清言」(もしくはそれに類似する呼び方)と呼んだ作家も厳密な基準は持ち合わせていなかったものと思われるが,一般的には短くそして警句のようなものを「清言」としていた。内容は,清雅と思われる文人の趣味,書,画などを含む芸術品の鑑賞や,無欲であり,清高と思われる老荘思想,仏教思想に基づいた人生に関する格言などがある。明代や清代の「清言」作品の中で,日本で最も広く知られているものは『菜根譚』であり,版本の違う日本語注訳を入手することは容易である。それに比べ,思想内容や文学形式の面から見てもそれに価値相当する他の「清言」作品の注訳は少ない。本稿は当時また近代の中国では知名度の高い張潮の『幽夢影』から二十五条を選び,日本語の注訳を付ける。
- 2005-06-30
著者
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