水分欠乏が葉の水ポテンシャルと硝酸還元に及ぼす影響
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概要
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トウモロコシとダイズの葉について, 水分欠乏が水ポテンシャル, 硝酸還元酵素活性, 硝酸含有率およびアンモニア含有率に及ぼす影響について比較検討した.プラスチックポットに, 直径1〜2mmのボラを1l入れ, これに植物を個体ごとに植えて自然条件下のガラス室で栽培した.ポットには地下かん水と排水のために, 底面と側面に多くの孔をあけた.それぞれのポットには処理開始までは1日につき30mlの1/2強度のホーグランド培養液を与えた.植物は大きな浅い容器に水を充たして地下かん水を行い, 水ストレスはかん水を停止することによって付加した.処理後, 葉を各葉位別に収穫し, 直ちに水ポテンシャルをpressure chamber法によって測定した.葉身は30mMリン酸緩衝液(pH7.0)中でホモゲナイズし, 抽出液を硝酸還元酵素, 硝酸, アンモニアの分析に供した.水ストレス条件下では, トウモロコシ葉の水ポテンシャルは葉位が上から下に行くに従って減少したが, ダイズの上位葉は下位葉よりも著しく低い水ポテンシャルを示した.トウモロコシ, ダイズともに水ストレスに反応して葉の水ポテンシャルおよび硝酸還元酵素活性の低下と硝酸およびアンモニアの含有率の増加がみられた.水ストレスを4日から5日に延長すると, トウモロコシへの効果はある程度増大した.5日間の水ストレスによってトウモロコシの葉の水ポテンシャルは10bar低下し, それにともなって硝酸還元酵素活性は34%低下し, 硝酸とアンモニアの集積はそれぞれ3.9倍と1.5倍になった.ダイズはトウモロコシよりも水ストレスに敏感に反応し, 水ポテンシャルは23bar減少し, 硝酸還元酵素活性はほとんど検出されず, 硝酸とアンモニアの集積はそれぞれ5.8倍と2.5倍であった.
- 鹿児島大学の論文
- 1987-03-16
著者
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