暖地における畦間灌漑と水稲生育との関係 : II.早植栽培におけるIR8,農林18号の生育に及ぽす畦間掛流し灌漑の影響
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概要
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前報において特異的な生育様相をもたらした畦間掛流し灌漑に着目し, これを圃場において1ヵ月の早植栽培に適用し, IR8(短稈穂数型)と農林18号(長稈穂重型)の生育に及ぼす影響を湛水栽培のそれと比較検討した.なお畦間掛流し区においては, 移植後6週間までは水, 地温を湛水栽培のそれに近似させるとともに, 以後は流量を多くして冷却効果が大になるように水管理を調節した.実験結果は次の通りである.1.畦間掛流し処理により, 両品種とも概して生育後期優勢型の生育様相を示した.すなわち移植後6週間より草丈, 分けつ数が湛水区より勝り, 出穂期附近では葉色濃く, 株当葉面積ならびに地上部重は何れも湛水区に比べて有意的に大であった.また根数は処理区間差がみられなかったが, 畦間掛流し区の根は分枝根が多く着生し最高分けつ期項の根重もまた大であった.2.早植効果が表われて, もっともおそいIR8の畦間掛流し区でも出穂期は9月4日で, 出穂状況も正常であり登熟期間は確保されたと思われる.3.収量構成要素のうち, IR8は穂数と1穂粒数が, 農林18号は穂数が畦間掛流し区において大であったが, 登熟歩合は両品種とも若干の減少をみた.結果的には1株精籾重は畦間掛流し処理により湛水区より有意的に大となり, IR8で約70gm, 農林18号で約55gmを得た.とくに前者の収量は一応評価し得る水準にあると考えられる.4.上述のように両品種とも畦間掛流し灌漑により生育に好影響をうけたが, その効果の程度には明らかに品種間差異がみられ, IR8がすべての生育要素において農林18号より大であった.
- 1976-03-20
著者
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