イチョウ種子のリボヌクレアーゼに関する研究
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概要
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前報において, ソテツ種子中のリボヌクレアーゼについて検討を行なった.本報では, ソテツと同様に裸子植物に属するイチョウ種子中のリボヌクレアーゼの部分精製, 性質について記述した.結果は次のように要約される.(1)イチョウ種子胚乳から, 硫安分画, DEAE-セルロースカラムクロマトグラフィー, セファデックスG_<100>によるゲルロ過によって二種類の酵素RNase G_1とRNase G_2が分離された.(2)DEAE-セルロースカラムで溶出されたときのRNase G_1とRNase G_2の比は1対10であった.(3)RNase G_1は至適pHが6.0にあり, RNase G_2よりもイオン強度の影響をうけやすく, 70℃, 5分間の加熱によってほとんど失活した.(4)RNase G_1は, リボ核酸を分解してアデノシン, グアノシン, ウリジン, シチジンといくつかのオリゴヌクレオチドを生じた.又クレオシドは, RNase G_1の直接の作用によって生じたものであるのか, 又は混在するフォスファターゼによって生じたものであるのかについては検討されなかった.(5)RNase G_2は, 至適pHが5.0にあり, 100℃, 5分間の加熱によっても60%以上の活性を示した.RNase G_2は, 10^<-3>MのHg^<++>によって90%, Pb^<++>によって60%阻害された.(6)RNase G_2は, リボ核酸を分解してアデノシン, グアノシン, シチジン, ウリジンの2', 3'環状リン酸及び, 3'-アデニル酸, 3'-グアニル酸を生じた.
- 鹿児島大学の論文
- 1969-02-15
著者
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原 彰
Laboratory Of Biochemistry
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佐藤 武
Laboratory of Biochemistry
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吉原 和子
Laboratory of Biochemistry
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渡部 常樹
Laboratory of Biochemistry
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