アメーバの細胞質に存在する微小顆粒と結晶の形態と元素組成の比較
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概要
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アメーバのA. proteusとp. dubiumの二種と餌生物のP. bursaliaの細胞内に見られる微小顆粒と結晶を光顕,TEMとSEMを用いて形態観察を行うとともに,走査型X線マイクロアナライザーを用いて元素分析を行い,それらの形態と元素組成の比較を行った.光顕とSEMによる観察で,A. proteusでは多数の小さな微小顆粒とバイピラミッド型の結晶が,P. dubiumでは多数の微小顆粒と大きさの異なる矩形層板状型の結晶が,そしてP. bursaliaでは微小顆粒と大きさの異なる不規則な形の結晶が観察された.アメーバの結晶をトルイジンブルー染色した厚切り樹脂切片を観察すると,A. proteusでは結晶の全体が,P. dubiumでは結晶の表層部が濃青色に染色された.走査型X線マイクロアナライザーで微小顆粒と結晶の元素分析を行った結果,微小顆粒と結晶の元素組成はA. proteusとP. dubiumの間に違いが認められず,結晶の元素組成はC, N, Oであり,微小顆粒ではC, N, O, Mg, P, Caであった.P. bursaliaでは微小顆粒と結晶の元素組成に違いが認められなかった.アメーバとP. bursaliaの間では無機成分にわずかな違いが認められた.これらの結果から,アメーバの微小顆粒と結晶は餌生物のP. bursaliaの微小顆粒や結晶に由来するのではなく,各アメーバ自身が合成したものと考えられる.また,アメーバの結晶は元素組成からNを含む有機物の貯蔵に,微小顆粒は無機物の貯蔵や細胞内のイオン濃度の維持に関与していると考えられる.
- 2005-12-31
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