助産師学生の分娩介助実習の実態について : 本学の実習指導資料からの分析
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概要
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本学の平成15年度入学生の分娩介助実習から,事例の概要と実習状況を分析し,助産師学生の実習中の学習姿勢を検討した。その結果,1.平均実習時間は約12時間,事例の平均分娩所要時間は約6時間で学生の実習時間の方が長く,その実習時間帯は日勤が約半分であるものの,複数の勤務時間帯に渡っていた。2.受持ち時はローリスクで,自然陣痛で経過をした産婦は約7割,出血も正常範囲内であり,学生の事例としては結果的にも好ましい状況であった。3.体調不良である時は,精神不安が高かった(p<.05)。4.学生の精神不安は,分娩第2期の時間(p<.05)が長くなるほど,経験事例(p<.001)を積むほど低い関係にあった。5.入院時産婦が破水(p=0.82)をしていたり,産婦の分娩になるまでの時間がない方(p=0.58)が,学生の精神不安は低い傾向にあった。6.「礼儀正しさや謙虚(p<.01〜.001)」または,「人格を尊重した(p<.05〜.001)」態度における評価は,学生よりも臨床指導者の方が悪かった。以上から,学生は長時間の拘束による心身の疲労や緊張の中で精神不安を持った実習を強いられているが,分娩介助時に学生が持つ緊張やストレスは,新しい技術の修得のために付随してくるものであるが,現代の学生気質として,自己評価が高いあまり,他者評価を受け容れにくいということや,実習時間は短く楽なことを好むということが浮び上がってきた。このことから,実習に先駆け,長時間の拘束による心身の疲労や緊張,ストレスへの対処法を身に付け,実習においては,夫婦にとって1〜2回しかない貴重な人の誕生へ関わることの喜びを産婦やその家族と共有できるためにも,産婦やその家族のプライバシーや人権を尊重し,人と人との関わりの中で学んでいく態度を身につけさせることが必要と考える。
- 2005-03-31
著者
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大野 弘恵
岐阜医療技術短期大学専攻科助産学専攻
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村松 十和
名古屋短期大学保育科
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村松 十和
岐阜医療技術短期大学専攻科助産学専攻
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村松 十和
前岐阜医療技術短期大学 専攻科助産学専攻(現三重大学医学部看護学科)
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大野 弘恵
愛知医科大学看護学部
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大野 弘恵
岐阜医療技術短期大学 専攻科助産学専攻
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