子どもの言語習得と思考の発達との関係についての研究 : ピンカーとミンスキーらの貢献
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概要
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私は言語学や言語心理学の専門家ではないが、子どもの言語発達にたえず興味を持ち、心理学的に考察し、研究してきた。その点でチョムスキーからはじまってビッカートンやダイヤモンド、更には最近のピンカーやサックス等に続く一連の優れた研究からたいへん貴重な刺激を受け、それにそった短い論文も幾つか発表させてもらった。この紀要第8巻で発表させていただいた「A Comparative Study of Sign Language and Spoken Language」(手話言語と口話言語の比較研究)もその一つである。本研究も、これらの学者たちが一連の研究結果をもとに共通に推測している「子どもが言語を獲得するのは、子どもの脳にあらかじめ埋め込まれた遺伝的青写真(ピンカーは更にすすんで本能と言っている)によるのではないか」という仮説について考察した。その結果、「子どもが言語を獲得するのは、遺伝的青写真や本能というよりも、ピアジェやミンスキーらの研究が示しているように、子どもの脳にあらかじめ仕組まれている思考(認知機能)の発達が下地となる。そしてそれと並行して発達してくる彼らの言語器官が、それを下地にしながら(すなわち思考の発達に促され)、周囲のおとな(はじめは母親)が使う言語(聴覚障害者の場合は手話)を使って、彼らと会話し始める。」そのように考える方が妥当なことを、他ならぬ前者らの研究そのものも示している。
- 2001-03-31
著者
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