社会福祉の人間観と潜在能力アプローチ
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概要
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社会福祉は、福祉国家成立以降、その対象を国民全般と規定してきた。しかし一般国民を前提にシステムを構築した結果、従来村象としてきた、児童、障害を有している人を、平均的な市民に対する例外的存在として、原理的に位置づけることになった。つまり、社会福祉における自由や平等、公正といった基本原理を語る場合は、平均的な市民を前提としてその原理を構築し、例外的な存在については、可能であれば拡大解釈をし、できなければ異なる原理を適用してきたと思われる。だが、これらに人々を本当に例外的な存在として扱わなければならないのか、平均・例外という二分化された人間観は所与のものなのか、という点について、社会福祉の領域で十分な検討がなされてきたとは思われない。本稿は、社会福祉における統合的な人間観の構築という視点に立ち、近年多様な領域で注目されているセンの「潜在能力」アプローチの意義と課題を検討した。特に、検討すべき点として、これまで選択能力の制限から自由を行使する資格がないと見なされてきた知的・精神的障害者等の問題をとりあげ、健常者を含めて、選択する能力自体を、「機能」の評価をする際の可変的要素としてとりあげることの必要性を提示した。
- 首都大学東京の論文
- 1998-03-25
著者
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