開発途上国の地下水開発プロジェクトにおける地下水揚水量の決定条件の実状と課題
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概要
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開発途上国における適正な地下水開発の提言をおこなうため,プロジェクトの現状と地下水揚水量の既存概念の利用状況について調べた.開発途上国では急増する水需要に対応するため,利便性の高い地下水が積極的に開発されている.これらの多くのプロジェクトは単井による村落給水計画,複数井による地方給水計画,多数の井戸による広域地下水開発計画の3つのプロジェクトタイプに分類される.これらの実際のプロジェクトで,どのように地下水揚水量を決定しているかアンケートにより実態調査を行った.その結果,どのタイプのプロジェクトにおいても「適正揚水量」, 「適正地下水利用量」の2種類の概念しか適応されていないことが明らかになった.これらの概念はそれぞれ「個々の井戸の限界揚水量」,「複数井戸の適正利用量」による考え方であり,地下水盆全体の管理と環境に関しては考慮されていない.このような実状と課題が,本研究で明らかになった.急増する地下水開発の現状を考慮すると,個々のプロジェクトタイプの目的,範囲,規模に合った揚水量概念の利用が必要である.また,環境への影響が懸念されるプロジェクトについては,許容揚水量の概念の適応が必要である.プロジェクトの目的と地下水盆の実状に合った地下水揚水量の決定は,大規模な地下水利用が行われている開発途上国における地下水開発計画策定上必要不可欠である.
- 地学団体研究会の論文
- 1999-05-25
著者
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